米国株なんとか日記

調査した銘柄や学んだことのメモです。

SaaSの40%ルール?

最近、注目の「SAAS」(Software as a Service)企業には、ベンチャーキャピタルが投資するに値するかを見極めるためのルール(指標)があります。それが40%ルール(the rule of 40、R40)です。

SaaS企業のビジネスモデルは、定額型のサブスクリプションであるため、一定数の固定客が付くまでは、初期投資や広告宣伝費などで赤字となり、黒字化するまでに時間が掛かります。当然、企業は成長に注力していますが、成長性と収益性のバランスをとる必要があります。成長にはコストがかかるため、「効率的な成長」が最適化されているかを確認するためのアプローチが必要。

つまり、利益が出ていない成長企業に投資したい。毎年のように売上高は伸びるけど、中々、黒字化しないため、一般的な投資指標では見極めが難しい。でも何か投資に値すると説明や根拠が欲しい、というところでしょうか。

では、どのように計算するのか見てみましょう。計算式はシンプルです。

  売上高の前年比(YoY)成長率 + FCFマージン > 40%


売上高の前年比成長率は月間定額収益の年度成長率を用いるケースやフリーキャッシュフロー・マージンは営業利益率を用いることもあるようです。ザックリいうと次のとおりです。

売上高の前年比成長率が100%であれば、FCFマージンがマイナス60%まではOK
売上高の前年比成長率が80%であれば、FCFマージンがマイナス40%まではOK
売上高の前年比成長率が60%であれば、FCFマージンがマイナス20%まではOK
売上高の前年比成長率が40%であれば、FCFマージンが0%以上はOK
売上高の前年比成長率が20%であれば、FCFマージンが20%以上はOK
売上高の前年比成長率が0%であれば、FCFマージンが40%以上はOK


X軸にR40のスコアを、Y軸に収益で割った企業価値(EV)をプロットしたチャートです。

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SaaS Rule of 40
Source: PJC Analysis and SAP Capital IQ as of 12/31/2018

直線の傾きは12であるため、R40スコアが10パーセント上昇する毎に、企業価値が1.2倍に増加することを意味します。R40スコアの高さと企業価値の高さには相関性がありそうです。

ただし、R40は業界の経験則にすぎません。
現金を燃やすことで成長率を嵩上げし40%を超えさせることも可能です。あくまでも、成長と収益性のバランスをとる方法をシンプルなルールに落とし込んだにすぎません。

個人投資家株式投資をする際は、参考程度にするのが良いのではないかと思います。昨年まで一様に上昇基調であったSaaS銘柄の株価は、R40を達成していても足踏みし始めています。今後はさらに銘柄の選別が進む可能性もあります。